discography

一覧に戻るSINGLE一覧に戻る

46th SINGLE

シネマ/カプセル

  • 発売日2025/04/30
Interview

Interview Interview

昨年10月にスタートしたライブハウスツアー「Love Like Rock vol.10」が、4月10日・Zepp Fukuoka公演で大団円を迎えた。「すべてのライブが初日で最終日」という想いを持って全32公演を駆け抜けたaikoは、その眩いばかりの日々を振り返る。

「本当に楽しかったです。今回のツアーでは、予定にない曲を突然やってみたりとか、“自由の中にある挑戦”をすごく意識していて。そこにみんなが観てくれている喜びが加わることで、普段目指している100%の自分を超えて、150%の力を出せている感覚になれた瞬間がすごく多かったんです。次の日に余力を残そうとか、そういったこともまったく考えず、自分の力がなくなるまで全部使いたいという気持ちで毎回、挑んでいました。それはきっと、人間は永遠ではないからこそ後悔しないようにやろうという想いが、いつの間にか自分の中でのテーマになっていたからかなって思います」

すべてのオーディエンスの中に刻まれたライブにおける興奮の記憶を軽々と更新していくステージを繰り広げながらも、「毎公演、課題が見えたツアーでもありましたね」とaikoは言う。

「自分のなりたい歌手になるためには、まだまだやれていないことがたくさんあるんです。だからこそ、ライブごとに手に入れるものもたくさんあるけど、同じくらい新たな課題も見つかるんですよね。当然のことやけどこれからも年齢を重ねていくわけなので、もっともっと頑張らなきゃなってすごく思います。昨日もYouTubeでアナウンサーの方の滑舌講座とか、ボイストレーナーの方の発声練習とかの動画を観てました。ライブはもちろん、自分の声帯、歌について向き合い、突き詰めていくことで新たな悩みが出てきたりもするけど、今の自分の状態を知ることにはおもしろさも感じます」

そんなaikoからニューシングル「シネマ/カプセル」が届いた。ひとつめの表題曲となる「シネマ」は、ドラマ「アンサンブル」の主題歌として今年1月に配信がスタートしていた、aiko自身の人生観が投影されたナンバーだ。

「今の自分が思っていることを書いた曲なんですが、時間が経つと昔の自分が『こうやって言ってるよ』と感じられる曲に変わっていくんですよ。『シネマ』という曲が書けて本当によかったなって今もめっちゃ思ってはいるんですけど、ここから時間が経った時に自分自身にとって支えになってくれる曲になったらいいなって、あらためて強く思います。こういう自分で生きていかなきゃなって思わせてくれる1曲になりました」

前述のツアー「Love Like Rock vol.10」では、今年に入ってからセットリストに加わった「シネマ」。ライブで歌い重ねたことにより、aikoが紡いだ“あたしの歌”が多くのリスナーにとっての“あたしの歌”として浸透していった。

「自分の書いた曲が“みんなの歌”になってくれる。私にとってそれほど嬉しいことはないんです。それはきっと何回も聴いてくれたからこそだと思いますし、ライブという時間をみんなと一緒に過ごせたからだと思ってます。曲の中で歌っている<都合よく生きる>というフレーズを大切に受け取って、今の時代を頑張って生きようと思ってくれた人がたくさんいてくれるのを見ると、本当に嬉しい気持ちでいっぱいになります」

今年3月に公開されたミュージックビデオでは、映像という表現でaikoからのメッセージが色濃く伝えられていく。公開後、すぐに100万再生を突破、コメント欄には海外のファンからの言葉も混じる。その状況は今のaikoの揺るがない立ち位置を明確に示していると言えるだろう。

「『夢見る隙間』や『もっと』、『skirt』などのMVを撮ってくださった田辺(秀伸)監督が今回もステキな仕上がりにしてくださいました。事前のミーティングでは、私からもいろいろとアイデアを出させていただいたんです。紫の絨毯を使うこととか、ストリングスのみなさんがストリートな洋服を着ているところ、枯れた花がまた咲いていく流れなど提案させていただいた部分です。公開後、日本のみなさんはもちろん、他の国の方にも観ていただけているのは本当にありがたいことで。海外の方からのコメントを訳すのがすごく楽しいです。ここからまた頑張ろうって、いい意味でゼロの気持ちにさせてもらえた気がします」

もうひとつの表題曲となるのは、現在放送中のTVアニメ『アポカリプスホテル』のエンディング主題歌「カプセル」。オープニング主題歌となる「skirt」(アルバム「残心残暑」収録)と共に、同作の世界をaikoならではの色彩で彩っている。

「元々、アルバム『残心残暑』を作っている段階で『skirt』をオープニングに使っていただけることが決まったんです。その上で、ぜひエンディングもとおっしゃって頂き、そこで新たに曲を作らせていただくことにしたんです。そういう意味では『アポカリプスホテル』との出逢いがなければ、この曲は生まれなかったということなので、本当に感謝しています。」

雑踏の音にaikoのハミングが重なっていくイントロで幕を開ける「カプセル」には、大切な人に向けられた狂おしいほどに強くて、深い愛情が注がれている。それはaikoにしか紡ぎ得ないラブソングであると同時に、『アポカリプスホテル』の世界にそっと寄り添う内容にもなっている。

「1コーラス分だけあったストックの歌詞を、『アニメの世界に合うかも』と思ってフルで書き進めて曲にしていきました。『もし宇宙の中で1人ぼっちだったら……』とか、逢いたい気持ちによって血が通い、人間になっていく姿を想像しながら書いていたような気がします。歌詞の中にある<壊れてたら恥ずかしいから>というフレーズは、アニメの主人公であるロボットのヤチヨさんをどこかで想像していたから出てきたのかもしれないです。ロボットは壊れたら終わり。でも人間も大切なところが壊れたら終わりだなと、共通する部分を感じたので」

曲が進む中で熱量を高めていくサウンド。そこに乗るaikoの歌声もまた、曲の展開とともに表情を変えていく。大サビの後でひと時、エンディングを予感させつつも、そこからまた感情が溢れていく流れは本作における大きな聴きどころと言えるだろう。

「2コーラス目のサビの後くらいから、ちょっとずつ人間味が出てくる歌にしたかったんです。ロボットが人間になっていくような。なので、最初はファルセットで歌っていたところも、最後はグッと感情を入れた歌い方をしています。曲の構成的に言うと、デモの段階では大サビの部分でほんとは終わってたんです。でもアレンジャーの島田(昌典)さんが、その後にまたサビをつけたアレンジを上げてきてくださって。アリ・ナシ、両方のパターンを何度も聴いているうちに、私も最後のサビが欲しくなってしまいました(笑)。で、ボーカル録りの前日に大サビ後のサビの歌詞を新たに思いついて書き足したんです。この構成は自分でもすごく気に入っています。今回、<逢いたくて死にそう>というフレーズを使っていますけど、やっぱり“死”という言葉は軽々しく使うものではないと思うし、慎重になるところはやっぱりあって。ただ、この曲を完成させるのはやっぱりこのフレーズしかなかったんですよね。それくらい強い想いを込めました」

そして、もう1曲。カップリングに収録されているのが「燃えた涙 月とライター」だ。ホーンが鳴り響くジャジーな雰囲気を纏ったスカナンバーは、ライブでの盛り上がりが約束された最高の仕上がりとなっている。

「『相思相愛』や『カプセル』は、自分の中ではメロディがあまりいろいろ動かない、ストレートな曲だなっていう印象があって。なので、“ザ・aiko”じゃないけど、メロディがすごく動く曲を作ろうと思ってできたのが『燃えた涙 月とライター』なんです。自分としてはめっちゃ楽しみながら作ったんですけど、初聴きのときは『ごめんちょっとよくわかんない』って思う人が多いかもしれないです(笑)。今回は自分の中にあるいろんな側面を持つ3曲を収録できたシングルになったので、すごく嬉しいんですけどね」

「Love Like Rock vol.10」の最中、今年の2月にできたばかりだというこの曲は、実に興味深いイメージもって作り上げられた。キーワードは“暴走族になった石原軍団”⁉

「ツアーで大阪のホテルに泊まると、必ず夜に暴走族が走ってる音が聞こえるんですよ。しかも同じ暴走族でも東京と大阪では毛色が違っていて、大阪のほうが圧倒的にこってりしていて。そのこってりした“パラリラ感”を出すためのイメージが“暴走族になった石原軍団”でした(笑)。要はバイクを吹かして演奏する『ゴッドファーザー(愛のテーマ)』的な雰囲気ですよね。それをアレンジャーの川嶋(可能)さんや、演奏してくれたバンドメンバーにお伝えしたら、みんな『OKOK!』ってすぐ理解してくれて。それによって鍵盤のアドリブをはじめ、現場でどんどん音が変わっていったのがおもしろかったです。私もアウトロで『愛のテーマ』っぽいフェイクを入れました(笑)」

サウンドのインパクトに耳を奪われるが、歌詞にもぜひ注目して欲しい。そこに盛り込まれているフレーズに、aikoファンは必ずや反応してしまうことになるだろう。

「そうですね。<今の二人をお互いが見てる>というフレーズを使っているんです。実はこの言葉は歌詞としてストックしてあったもので、それが気に入っていたので2023年にリリースしたアルバムタイトルに使ったんです。いつか曲の歌詞としても使えたらいいなと思っていたので、今回リリースできるのはすごく嬉しいです。歌詞の内容としては、好きな人に出逢った当初の、自由奔放な“らぶゆ”な気持ちを書いた感じです。長い時間、大切な人のことを想い続けている気持ちを書いた『カプセル』とは対照的かもしれないです」

クールな歌声が楽曲に込めたイメージをより鮮やかに彩りつつ、サビでは一転、どこか無垢な、キュートな歌声に変化するところもおもしろい。

「最初は“族”っぽい歌声なんですが(笑)、サビになるとちょっと能天気で、自分勝手な表情が出てくるんですよね。<決まらない髪むかつく>って歌詞があるように、わがままな感じを出したかったというか。Aメロからガラッと変わるサビにしたくて、後で付け加えたBメロから転調してサビに入る流れがその要因にもなってます。サビっぽいAメロを持つ曲は今までにもあったので、今回はそれとはまたちょっと違う曲にしたかったんです。この曲はライブでやるのがすごく楽しみです!」

次のライブの予定もすでに発表されている。12月6、7日の東京・国立代々木競技場 第一体育館、12月31日の大阪城ホールの3本が開催される「Love Like Pop vol.24.9」。大阪公演は10年ぶりのカウントダウンライブとなる。

「終わったばかりの『Love Like Rock vol.10』は、ちょっと自信が出たかと思ったら、すぐまたそれを喪失することを繰り返すツアーでした。それを経て、今回はさらに広い会場でやらせていただける3本だけのライブなので、今の自分としては、ちゃんとしっかり自信がないです(笑)。でもまだ本番まで時間があるので、ここからしっかりと自分に向き合い、その不安を解決した状態で臨もうと思っています。とにかく頑張らなきゃという気持ちでいっぱいですけど、みんなにまた逢えることが本当に楽しみなので、ぜひ遊びに来て欲しいです。『Love Like Pop vol.24.9』っていうタイトルも、なんとなく匂わせてます(笑)。あと、ツアー前の8月には初めて「SWEET LOVE SHOWER 2025」に出演させていただくことにもなりました!そこで出逢った方々に『ツアーも行ってみたいな』と思っていただけるように、一生懸命頑張ります」

取材・文=もりひでゆき
  • [初回限定仕様盤A(CD+LIVE Blu-ray)] [初回限定仕様盤A(CD+LIVE Blu-ray)]
  • [初回限定仕様盤B(CD+DVD)] [初回限定仕様盤B(CD+DVD)]
  • [通常仕様盤 (CD Only)] [通常仕様盤 (CD Only)]

音楽配信

オンラインでのご購入

[初回限定仕様盤A(CD+LIVE Blu-ray)][初回限定仕様盤A(CD+LIVE Blu-ray)]
  • 品番PCCA-15040
  • 価格¥3,850(税込)
[初回限定仕様盤B(CD+DVD)][初回限定仕様盤B(CD+DVD)]
  • 品番PCCA-15041
  • 価格¥3,850(税込)
[通常仕様盤 (CD Only)][通常仕様盤 (CD Only)]
  • 品番PCCA-15042
  • 価格¥1,320(税込)

収録曲

1
シネマ
作詞/作曲 AIKO | 編曲 川嶋可能
動画で視聴動画で視聴
2
カプセル
作詞/作曲 AIKO | 編曲 島田昌典
動画で視聴動画で視聴
3
燃えた涙 月とライター
作詞/作曲 AIKO | 編曲 川嶋可能
4
シネマ(instrumental)
作詞/作曲 AIKO | 編曲 川嶋可能
5
カプセル(instrumental)
作詞/作曲 AIKO | 編曲 島田昌典
Blu-ray/DVD 収録内容 aikoフリーライブ「Love Like Aloha vol.7 (director’s cut)」
1
58cm
2
ストロー
3
帽子と水着と水平線
4
荒れた唇は恋を失くす
5
相思相愛
6
ハニーメモリー
7
メドレー
8
よるのうみ
9
アップルパイ
10
skirt
11
愛の病
12
キラキラ
13
夏が帰る
14
星の降る日に
15
花火

一覧に戻るSINGLE一覧に戻る


「シネマ/カプセル」
Now in stores


[通常仕様盤 (CD Only)]


「シネマ」
Now in stores



「残心残暑(12インチアナログレコード)」
Now in stores


生産限定盤/180g重量盤