15th ALBUM
今の二人をお互いが見てる
- 発売日2023/03/29

「いつもはアルバムができあがったタイミングでタイトルを考えることが多かったんですけど、今回は7割ぐらい出来上がった時にふとこの言葉が浮かんで。自分としてすごくしっくりくるタイトルだったので他に候補はなかったですね。そこに込めた意味としては、自分の中でもその時々でイメージが違ったりもします。目の前にいない相手が離れた場所でも自分のことを見ていてくれたらいいなって思う気持ちであったり、二人でいる瞬間を俯瞰で見ている自分であったり……。実際、二人の関係性も日によって違いがあるものですしね。ただ、私はどんなことがあったとしても二人の世界がずっと変わらないことを信じたい。大切にしたい今の瞬間と向き合いながら、そんなことを思っていたから浮かんだタイトルなんだと思います」
アルバムには、既発曲「食べた愛」「ねがう夜」「夏恋のライフ」「果てしない二人」「あかときリロード」に新曲を加えた全13曲を収録。幕開けを飾る「荒れた唇は恋を失くす」は、ホーンをフィーチャーしたアップテンポなサウンドの上でaikoの純真無垢な歌声が跳ねる、ライブでの活躍を約束された1曲だ。
「自分の荒れた唇を見て、“こんなんじゃダメだなぁ”って思いながら作った曲です。2コーラス目のAメロは特に私のネガティビティが出てる(笑)。ただ、そんな状況から変わりたい気持ちもあったので、なりたい自分を反映した歌詞にしました。歌い続けることでそんな自分になれたらいいなっていう、希望を込めた曲でもありますね。島田(昌典)さんによる華やかなアレンジを聴いた瞬間、「ジェット」(99年リリースの1stアルバム『小さな丸い好日』収録)のアレンジを聴いたときと同じくらいワクワクしたのを覚えています」
「いろんな音の一粒一粒にテンションを上げてもらいながらレコーディングできましたね。この曲も島田さんのアレンジにうまく踊らされた歌になった気がします」という「ぶどうじゅーす」。“泥のようにさらばだ”というインパクトのある冒頭フレーズで一気に曲の世界へと引き込まれる「さらば!」については、「途中で転調する頭のメロディがふと出てきて。そこから一気に作っていきました。“おしゃれにしてください”という私のまったくおしゃれじゃないオーダーを受けて(笑)、トオミ(ヨウ)さんが本当に素敵なアレンジをしてくださって」と制作の様子を振り返る。弦楽カルテットとクラリネットのみで構成された「のぼせ」は、パーソナルな空間で想いを紡いでいくようなaikoの歌が胸に沁みる仕上がりだ。
「『のぼせ』はお風呂の中で歌詞を書いて、そのまま上がって曲にしたんです。弦に関しては小さな部屋でキレイに響いているような鳴り方にするために遮音板を使ったりとか、いろんな録り方を試しましたね。音が少ない曲なので、歌うのはかなり緊張します。気を抜いているとあっという間に終わってしまう短い曲でもあるので、気持ちをギュッと詰め込んで歌うことを心掛けましたね」
成就しなかった恋心を異なるシチュエーション、サウンドアプローチで紡いでいった「アップルパイ」と「ワンツースリー」。思いを寄せる相手への、言葉では到底言い表せぬ強い思いを注いだ「telepathy」と、アルバムは様々な物語によってラストへと心地よく駆け抜けていく。
「『アップルパイ』は、好きになった相手がこっちを向いてくれた気がしたけど、実は違っていたという曲。この歌詞は自分でもすごく好きですね。ずっと大切にしていきたい気持ちが書けました。『ワンツースリー』は、同じ歌詞で8ビートの曲を10年くらい前に作っていたんですよ。でも、それは形にはならなくて。今回あらためて曲にできたことが嬉しいです。ミックスの段階で“もっと入れたい!”と思ってコーラスをたっぷり付け足したのも楽しかったですね。『telepathy』はアレンジが本当にかっこいいですね。ライブが楽しみです。歌詞については、相手の想いに浮かれているバカな自分のことを書いてます。とにかく“好き”が強い曲(笑)」
ラストはaikoの真骨頂とも言える、日常の些細な光景から共感必至の切ないストーリーを紡ぎ出した「玄関のあとで」。そぎ落としたシンプルなサウンドの中、感情をめいっぱいに込めたaikoの歌声が感動のエンディングへと誘う。
「二人の関係に最後が来てしまったら、日常の中のいろんな光景に後悔が滲むんやろうなと思って書いた歌詞ですね。“僕”目線で書いたのは、男の人にこういう気持ちでいてもらえたらいいなという私の願望が入っていたからかもしれないです。サビでは1オクターブひゅっと上がるメロディがあって。自分で作っておきながらかなり音を当てるのが難しかった(笑)。でも、今までにあまりやったことのない音符の動きだったので、歌っていてすごく新鮮で楽しかったです。曲を作る自分と歌う自分、2つの人格が共に立ち止まることなく、ちょっとずつ前に進んでいけたらいいなということを、この曲を歌いながら感じましたね」
これまでにも増して自由奔放に音楽と戯れ、時に成熟した、時に瑞々しい表情を注ぎ込んだニューアルバム。そこには鮮やかに更新されたaikoのめくるめく世界が広がっている。
「またこうやってアルバムを作れたことが何より嬉しいし、ちゃんと次に繋がる自分の作品が出来たなと思います。前回のアルバムから約2年、最近はいろいろな制限が緩やかになってきたので、また好きなように好きな曲を作れたところもありましたね。出来上がったアルバムを通して聴いたとき、私はちょっと湯あたりしたような感覚になったところがあって(笑)。それくらい本当にいろんな曲を入れることができたので、聴いてくれるみなさんにとって、いい感じに重たいアルバムになってくれたらいいなって思っています」
本作を引っ提げ、5月24日からは全30公演となる全国ツアー「Love Like Pop vol.23」がスタートする。今年7月17日でデビュー25周年を迎え、この日にこれまでリリースした全アルバムのアナログレコード化第一弾(「小さな丸い好日」「桜の木の下」「夏服」「秋 そばにいるよ」)のリリースも決定しているaikoの活動は、ここからさらに加速していくことになるはずだ。
「今回のツアーは、ホーンセクションを加えた大所帯でまわることになるんですよ。しかもとんでもなくプロフェッショナルな面々なので、その場のアドリブも含め、どんなことでもできる気がしています。もちろんライブとして決めておくことはあっても、それが絶対ではない。その日にしかできないライブを30公演やっていけたらいいなと思っています」
取材・文=もりひでゆき
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DVD/Blu-ray収録内容 aiko Live Tour「Love Like Rock Limited vol.2」@ 2022.10.11 Zepp Haneda
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